中古医療機器の個人売買譲渡
業者を通さない、医療機器の譲渡・売買
うちの病院に勤務する医師の、知り合いの医者から、「医療機器を買い換えたので、前のをあげます」と申し出を受けたことがあります。
平成17年の薬事法の改正で、高額な機器から家庭用体温計まで一括りで「医療機器」に属する決定が下されましたね。
しかし、オークションサイトでは、中古の体温計や血圧計が個人から出品されています。
- 医師が自分の病院で使用している医療機器を、友達の医者に与えた
- 医師が自分の病院で使用している医療機器を、友達の医者に売った
- 医師が自分の病院で使用している医療機器を、オークションサイトで売った
- オークションサイトで売っている医療機器を、医者が落札した
- オークションサイトで売っている医療機器を、一般人が落札した
多くの例を書き出してみました。
薬事法に抵触する部分はどこでしょう?
法規制のかかり方
医療機器の販売ですが、販売する医療機器のクラスによって
「所定の届出を出す」あるいは「許認可を得る」
この過程をクリアすることが必要です。
無許可で医療機器の販売業を行ったら薬事法違反ですが、機器を譲渡・販売しようとするだけで儲けようとしていないなら「販売業」とはみなされません。
ですから1~3は違法にはなりません。
※もっとも、医療機器を使用して医療行為を行うことは医師にしか認められませんから、3は、落札者が医療関係者かどうか確認できないでしょうし、道義上ないし公益上は販売が望ましくないと考えられます。
4と5は、出品者が「販売を生業にしている」可能性を残しますね。
不要になった家庭用の体温計・血圧計を出品している可能性もあれば、オークションを隠れ蓑にして、許可を得ていないのに販売をしている可能性もあります。
あまり信用しないほうがよいでしょう。
個人間のやり取りはどこまで安全でしょうか?
話を戻しますと、医師からの医療機器の販売だけであれば、違法性はないと考えてよいでしょう
しかし、医療機器は、医療機関に納品されてからは、その医療機関がその機器の性能・品質について保守点検をする責任があることが、医療法に定められています。
その機器が、譲渡・販売される前にどこまで保守点検されていたのかがポイントですね。
個人から販売・譲渡された医療機器についてトラブルが起きるとすれば、医療事故等の原因となったときでしょう。
薬事法はクリアしても、品質や性能についてはリスクが残りますね。
「個人譲渡をしたいのだが問題はないか」
と、某医療機器メーカーに問い合わせたら、
「譲渡の前にメーカーに通知して、メンテナンスを受けなくてはならない」
との答えでした。
そのメンテナンスの費用は、驚くほど高額で、厚生労働省にも問い合わせましたが、「機器の販売を生業としていないなら、薬事法に抵触しない」との答えでした。
厚生労働省の答えは正答でしょう。
しかし、メーカーに通知せず譲り受けた機器は、メーカーの保証を受けられないかもしれません。
結局、知り合いの医者からの申し出はお断りしました。